おさかな咥えたどら猫の罪は?

猫が外で日向ぼっこする光景が似合う春になりました。

猫といえば,国民的アイドルであるサザエさんの「おさかな咥えたどら猫」が思い浮かびますが,なかなか実際に「おさかな咥えた猫さん」に遭遇したことはありません。我が家の猫もキャットフード以外は口にせず,時折白身魚を加熱しほぐして与えててみますがあまり興味を示してくれません。

さて,人間がおさかな咥えて逃げたら,他人の財物を窃取した者としてこれは窃盗罪になります(刑法235条)。

猫の場合はどうでしょうか。ペットは家族の一員ですが,日本の法律においては基本的に物として扱われます。とても残念なことですが,愛するペットが誰かにけがをさせられても刑法では傷害罪ではなく器物損壊罪(刑法261条)が成立することになります。

物が物をもって逃げても,「他人の財物を窃取した者」にはあたらないので窃盗罪は成立しないことになるのです。万が一窃盗罪が成立すると,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金になりますので,そもそも猫の懲役刑はどの刑務所で執行するのか問題になりそうです。

ただ,飼い主が猫を訓練して美味しいお魚をくわえて持ち帰るように教育し,持ち帰ったお魚を晩御飯にしていたら,飼い主について窃盗罪が成立する余地はありそうです。

なお,ペットが物扱いだからといって粗雑に扱っていいはずはありません。

動物愛護法では,犬や猫は愛護動物としてものとは違う扱いをすることが規定されています。同法44条では,「1 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。2 愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。3 愛護動物を遺棄した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。4 前三項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。一 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる二 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬は虫類に属するもの」となっています。器物損壊罪の「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」,よりも重い罪となります。

法律があってもなくても,犬も猫も(そのほかの動物も)安心して暮らせる町であってほしいものです。