スキル・マトリックス

スキル・マトリックスとは、会社が経営戦略に照らして自らが備えるべきスキル等を特定した上で、取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方を定め、各取締役の知識・経験・能力等を一覧化したものです。

本年6月11日に東京証券取引所をはじめとする全国の証券取引所において、コーポレートガバナンス・コードの2021年改訂版が公表され、その中で取締役会の機能発揮のためスキル・マトリックスの開示方針が明示されたことから、現在脚光を浴びています。

スキル・マトリックスにおいては、まず会社の経営戦略を定めた上で、個々の会社の経営戦略に応じて求められるスキルを明示します。そこに個々の取締役のスキルの現状を評価し、当てはめていくことで、会社全体として経営戦略上不足するスキルが可視化され、組織開発および人材育成面において強化すべきポイントが明確化します。

「組織は戦略に従う」との考え方を示したのはアメリカの経営学者アルフレッド・D・チャンドラーですが、コロナ禍という環境変化の中にある今、経営者が次世代を見据えたビジョンと戦略を示し、スキル・マトリックス等の考え方等を参考に組織に落とし込み実行することが求められています。

スキル・マトリックスは上場企業のみならず中堅・中小企業の組織づくりにおいても有用な考え方ですので、有効に活用したいものです。