中学の理科の時間数が特許出願数に影響

神戸大学の研究者の分析で,中学3年間ゆとり教育を受けた世代の特許出願数に影響しているとの結果がでたとの報道がありました。

報道によれば,研究グループは国内で研究開発に従事する人に対するアンケート調査と,2016年と2020年に調査した年齢別の特許出願数を分析し,ゆとり教育が特許出願数に与えた影響を探ったそうです。

ゆとり教育とは,1980年代ら始まった教育方針で,それまでの「詰め込み教育」といわれた知識偏重型の教育方針から思考力を鍛える学習に重きを置いた経験重視型の教育方針に転換し学習時間と内容を減らしてゆとりある学校教育を目指したものです。実施後,子どもたちの学力低下が指摘され見直しとなり,2011年以降に新たな学習指導要領が施行されました。ゆとり教育を受けた世代を「ゆとり世代」と呼ぶことがあります。

研究グループの分析では,中学時代に「ゆとり」教育を受けた2020年で51歳以下の世代は,それ以前の世代に比べて特許出願数など研究開発成果で劣り,特許出願数と中学時代の理解の時間数に相関関係がみられたとのことです。

報道の内容だけでは,年齢別の特許出願数の抽出方法なども不明であり,内容について詳しく知ることはできませんが,いわゆる「詰め込み教育」の世代に比べて「ゆとり世代」から特許出願があまり出ないとすれば,思考力を鍛える学習に重きを置いたはずのゆとり教育の理念とは相反する結果といえそうです。