企業経営と知的財産

2021年版コーポレートガバナンス・コードに、初めて知的財産に対する原則が明記されました。

補充原則3-1③では、「人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。」とされ、補充原則4-2②では、「人的資本・知的財産への投資等の重要性に鑑み、これらをはじめとする経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行が、企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督を行うべきである。」とされています。

これまで、取締役の知的財産に関する責務としては、他社の知的財産を侵害しないよう監督する守りの面が強かったといえますが、今日知的財産を攻めの経営戦略にも組み込んでいくことが求められているといえます。

内閣府の知的財産戦略推進事務局が公表した「経営デザインシート」においても、企業規模の大小を問わず、知的財産を活用した経営の重要性を訴えています。

企業の継続的発展のため、差別化による競争優位の源泉となりうる知的財産は、今後ますます重要な地位を担っていくものと考えられます。