営業秘密の保護

最近、全国に店舗を展開する大手企業において秘密情報の持ち出しが問題となっています。営業秘密の保護は、企業にとって極めて重要な課題であり、従業員だけでなく、退職者による営業秘密の漏洩への対策も講じる必要があります。対策は大きく分けて2つの方法があります。

一つは就業規則・誓約書等により秘密保持義務を課すことです。これらにより定めた内容の営業秘密の持ち出し・漏洩を抑止できます。また、これらに反する行為が行われた場合には、返還請求、差止請求、損害賠償請求等の措置を採ることができます。

もう一つは不正競争防止法第2条に定める営業秘密の漏洩等の行為の禁止です。不正競争防止法上、営業秘密として保護されるためには、秘密管理性・有用性・非公知性の3つの要件が必要となります。秘密管理性は、その情報にアクセスできる者が限られており、アクセスした者が秘密であると認識できることを意味し、有用性は、客観的に見て事業活動にとって有用なものであることを意味し、非公知性とは、会社の管理下以外では一般に入手できないことを意味します。

同法に違反した場合には、漏洩・使用の差止請求、損害賠償請求、信用回復措置請求等を採ることができます。また、営業秘密を不正の利益を得る目的で、又は営業秘密保有者に損害を与える目的で、不正に取得、使用等した者は、十年以下の懲役若しくは二千万円以下の罰金に処せられます。