知財調停の活用

知的財産権に関する争いの解決手段として「知財調停」があります。今年7月WEB会議での調停も可能になりました。活用が期待されます。

知財調停は2019年に迅速な紛争解決手段として開始されました。知財調停は,ビジネスの過程で生じた知的財産権をめぐる紛争について,一定の期日までに提出された資料等に基づき,知財部の裁判官及び知財事件の経験が豊富な弁護士・弁理士などから構成された調停委員会の助言や見解を得て,話合いによる簡易・迅速な解決を図る手続であり,現行法の枠内で,訴訟,仮処分にはない特徴を有する第3の紛争解決ツールを提供する司法サービスになります。技術内容など専門性が求められるため東京・大阪地裁に設けられています。調停手手続は非公開でありかつ迅速な解決が見込めることが魅力です。

対象となる事件は,特許権,実用新案権,意匠権,商標権,著作権,回路配置利用権,商法12条,会社法8条若しくは21条に基づく請求権,不正競争防止法に定める不正競争,種苗法による育成者権,他人の氏名,名称又は肖像を広告の目的又は商業的目的(報道目的を含まない。)のために無断で使用する行為に関する紛争です。

しかし,これまでの申立件数は32件にとどまるようです。

紛争解決手段としては知財調停以外に日本知的財産仲裁センターの利用も考えられますが北陸からではいずれも遠隔地に赴く必要があり利用は難しい状態でした。今回WEB手続きが可能になり利用の便が良くなったと考えられます。

一方,申立が不調な原因ですが申立費用もあるのかもしれません。手数料は訴え提起の場合の半額以下になりますが知的財産権にかかる事件はそもそも訴額が大きくなりがちですので申立手数料も高額になりがちなのも問題なのかと考えられます。

いずれにせよ訴え提起以外の紛争解決手段が増えていくのは喜ばしいことです。

制度の円滑な活用と広報に期待します。