デジタルマネーによる賃金払い
賃金の支払は、通貨(現金)で、直接労働者に、その全額を毎月1回以上、一定の期日を決めて支払わなければならないとされています(労働基準法24条)。労働者保護の立場から、労働者が賃金を確実に受け取り、生活を安定させることができるよう定められたものです。
銀行振込による賃金支払いは広く行われていますが、これも労働基準法施行規則に定められた例外的な扱いとして、労働者の同意がある場合に認められているものです。
さらに今回、昨今の社会におけるキャッシュレス化の動きを踏まえ、労働者の同意を得た上で、一定の要件を満たす場合に限り、デジタルマネーによる支払いが可能となる改正がなされ、本年4月より施行されることとなりました。一定の要件とは、賃金の支払いに関する口座残高が100万以下に設定または100万以下になるための措置を講じていること、②破綻などにより口座残高の受取が困難となったときに、労働者に口座残高の全額を速やかに弁済することを保証する仕組みを有していること等があります。
キャッシュレス化は便利なものである反面、運営業者の信用リスクや、形として目に見えにくいことによる使いすぎのリスク等も指摘されるところです。法規制を踏まえ、上手に活用していきたいものです。