リメイク品の商標権侵害に注意
先月下旬,ジーンズをリメイクして作ったバックを展示して販売していたとして新潟県長岡市の女性が逮捕されたというニュースがありました。
女性が販売していたバックは,ジーンズでおなじみのメーカーのロゴやタグを目立つように切り取ってメイクしたものでした。
自分のもっているジーンズやバックをリメイクしたら逮捕されるのか,と違和感を抱かれるかもしれませんが,これは明白な商標法違反になります。
商標とは自己の商品またはサービスと他人の商品またはサービスとを識別することを可能にする標識をいいます。また,商品やサービス(役務)を提供する場合に,その商標を使用していくことによって,商品やサービスがある特定の者から提供されていることを示す機能(出所表示機能),同じ商標を付した商品やサービスには一定の品質があることを保証する機能(品質保証機能),その商標を手掛かりとして消費者に安心して商品やサービスの提供を求めてもらえるという機能(宣伝広告機能)が商標にはあります。これらの機能が十分にはっきされることにより商標はブランドとしての価値を高めていくことになります。
このような機能を保証するため商標登録された商標は,その仕様について独占排他権を有します。つまり,その商標の権利者として独占的にその商標を使用することに加え,他人に当該商標の使用をライセンスし,収益を得ることが可能になります。また,商標の権利者として,第三者の使用を差し止めるたり損害賠償を請求することが可能になります。
自分で購入したり長年持っていたブランド物を加工して販売した場合,消費者はそれをそのブランドの製品だと思って購入する可能性があります。そうすると,商標の自他識別機能だけでなく出所表示機能や品質保証機能を阻害し,ひいてはそのブランドのイメージを損なうことになります。したがって,ブランド品のリメイク品を販売する行為は商標権侵害になります。
個人でちょっとやったことにそんなに大騒ぎしなくても,という意見もあるかもしれませんが,各メーカーは自己のブランドの品質やイメージの保持に日々努力を重ねています。その努力にいわゆるのっかる行為は個人であっても許されないのです。