地理的表示保護制度の運用の見直し
地理的表示保護制度の運用が見直されました。
農林水産省の発表によると,GI制度について農林水産物・食品の輸出拡大や所得・地域の活力の向上に更に貢献できるよう,多様な産品のGI登録と波及効果の高いGIプロモーションを展開し,かつGIマークという統一ロゴの下,GI産品の名称・ブランドを保護しつつ,成功事例の横展開,市場展開を通じ,GIそのものの認知を高め,全体として「GIブランド」を確立するための見直しとのことです。
具体的には,
①審査基準の見直し
②登録前後における手続きの見直し
③GIの市場における露出の拡大などです。
審査基準の見直しは,差別化された品質がなくとも,地域における自然的・人文的・社会的な要因・環境の中で育まれてきた品質,製法,評判,ものがたり等のその産品独自の多彩な特性を評価する審査を推進することとなります。また,知名度なども考慮し,生産実績が25年に満たなくとも,登録の可否を弾力的に判断することになります。
この見直しにより,25年に満たなくとも知名度があれば登録可能となる産品が出てくる見通しです。
次に,登録前後における手続きについては,GI産品と信頼して購入した需要者の利益を毀損しない,GI真正品について,名称の統一が申請への合意形成の支障とな
らないよう,登録名称を分断する名称の継続使用を可能にします。例えば金沢ぶどうが登録された場合に,もともと使用していた「金沢〇〇ぶどう」も継続して使用可能となります。また,年1回行われている生産工程管理業務も最終製品ではなく,生産の
手順・体制をチェックする方法へと簡素化されます。
加えて,市場におけるGI製品の露出拡大のためGIマークを,GI産品の加工品に使用する場合のルールを明確化します。また,外食,食品,観光などの他業種とのコラボ商品・コラボサービスの開発・提供を推進するとのことです。
これらの運用見直しにより,GI産品のブランド力が高まり産地の活性化につながるとよいと期待しています。