屋外展示の著作権

9月3日から11月12日まで珠洲市全域で奥能登国際芸術祭が開催中です。

奥能登国際芸術祭は,2017年から珠洲市全域を会場として開催されるトリエンナーレ形式の芸術祭です。今年が3回目になります。

今回の芸術祭には48の作品が出品されていますがこのうちの多くが屋外展示になっています。

公園や歩道などにもよく屋外展示の彫刻などがあり作品鑑賞は散策時の楽しみの一つでもあります。

この屋外展示の美術品の場合,作品の前で写真撮影しSNSに投稿する行為など気軽に行っている人も多いと思いますがこれは著作権法上大丈夫なのかが気になります。

著作権法には46条に公開の美術の著作物等の利用の規定があります。この規定では、「美術の著作物でその原作品が…屋外の場所に恒常的に設置されているもの…は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる」という内容になっています。つまり,屋外に恒常的に設置されている作品については基本的には利用可能です。SNSにも投稿OKです。

ただし,次に掲げる場合を除きの規定の内容は,「1 彫刻を増製し、またはその増製物の譲渡により公衆に提供する場合(1号)。建築の著作物を建築により複製し、またはその複製物の譲渡により公衆に提供する場合(2号)。45条2項に規定する屋外の場所に、恒常的に設置するために複製する場合(3号)。もっぱら美術の著作物の販売を目的として複製し、またはその複製物を販売する場合(4号)」となっています。1号から4号に定める利用は許されていません。

また,「恒常的に設置する」というのは社会通念上ある程度の長期にわたり継続して不特定多数の者の観覧に供する状態に置くことを指します(横浜市営バス事件)。

会期中の屋外展示(2カ月余)が「恒常的」に該当するかは議論の分かれるところかもしれません。ただ,作品の中には複数今回限りの出品でなく第1回から恒常的に設置されているものもあります。この場合には「恒常的」の要件は満たすと考えられます。

珠洲市では今年震度6強の地震がありました。

復興を支えるためにも多くの人に奥能登国際芸術祭に足を運んでいただきルールを守って芸術の秋を楽しんでほしいものです。