改正不正競争防止法が成立
インターネット上の仮想空間「メタバース」内で模倣品の販売を禁じる改正不正競争防止法など知的財産関連の6つをまとめた改正法が今週,参院本会議で全会一致で可決,成立したとのことです。
社会のデジタル化が急速に進む中,ウェブ上の知財を保護することで,中小企業やスタートアップ(新興企業)が新規事業を積極的に展開できる環境を整えることが改正の目的です。
具体的には不正競争防止法2条1項3号(商品形態の模倣行為の禁止)の対象に,「電気通信回線を通じて提供」する行為が追加されます。これによりデジタル空間における他人の商品形態を模倣した商品の提供行為も不正競争行為の対象とし差止請求権を行使できるようになります。
不正競争防止法の改正としては,これに加え
①ビッグデータを他社に共有するサービスにおいて,データを秘密管理している場合も含め限定提供データとして保護し,侵害行為の差止め請求等を可能とする。
②損害賠償訴訟で被侵害者の生産能力等を超える損害分も使用許諾料相当額として増額請求を可能とするなど,営業秘密等の保護を強化する。
③特許法,実用新案法および意匠法について,一定の場合に特許権者の意思によらず他者に実施権を認める裁定手続において,提出書類に営業秘密が記載された場合に閲覧制限を可能にする。
などの改正が行われます。
このほか,商標法の登録可能な商標の拡充や意匠登録手続きの要件緩和などが改正の概要です。
改正法がメタバース上の活動の知財保護に資することが期待されます。