有名なペットの名前の商標出願
おそらく今日本で一番有名なペットは「デコピン」でしょう。
「デコピン」人気にあやかろうと商標出願をしている人がいそうなので調べてみると、たくさんおられました。
ただ、大谷選手がデコピンを家族に迎える前からエステーがデコピンを商標登録して実際に芳香剤を販売していました。先見の明ありです。
人の名前を出願すると商標法4条1項8号(他人の氏名又は名称等)で拒絶になります。実際に、「大谷翔平」の名で出願し現在4条1項8号の拒絶理由を発せられている出願人も確認できました。
では、ペットの名前は4条1項8号で拒絶できるでしょうか。4条1項8号は、「他人の肖像若しくは他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)又は他人の氏名を含む商標であつて、政令で定める要件に該当しないもの」について商標登録を受けることができない。としています。ペットの名前も有名な場合、他人の氏名に含めてよいのでしょうか。なかなか難しいように思われます。
実際、「デコピン」についてどのような拒絶理由が出されているのか確認すると、3条1項6号でした。商標法3条は、「自己の業務にかかる商品又は役務について使用する商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。」となっており、6号は「前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」です。ある拒絶理由通知では、「この商標登録出願に係る商標(以下「本願商標」といいます。)は、「デコピン」の文字を標準文字で表してなるところ、前記文字は、現在ロサンゼルス・ドジャースに所属する野球選手である大谷翔平氏の愛犬の名前として、2023年12月頃から広く話題となり、現在流行している語です(下記参照)。そして、目下、当該「デコピン」の文字を利用して、不特定多数の者が商品・サービスの販売や広告等を行っている実情があります(下記参照)。そうすると、本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する需要者は、現在流行したことにより、不特定多数の者が商品の販売や広告等に使用している大谷翔平氏の愛犬の名前を理解するにとどまりますから、本願商標は、特定の出所を表示することができず、自他商品の識別標識として機能するといえないものであり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というのが相当です。」とあります。
なるほど・・・
人気者にあやかりたい人はいろいろ考えるもので、それを止めるのもなかなか大変です、と思いながらうちのニャンズは「デコピン」のように有名では全くないけれどかわいさでは負けないなと勝手に親ばかぶりを発揮しております。