権利ノ濫用徐お守り

権利の濫用という言葉をご存じでしょうか。法曹関係者にはなじみの言葉です。民法1条3項に「権利の濫用は、これを許さない。」とあります。公平だとは解決を図るため、濫用的な権利行使を許さないとする一般条項です。

権利の濫用については非常に有名な「宇奈月温泉事件」があります。富山県の宇奈月温泉のお湯は引湯管によって引かれていました。引湯管がその一部をかすめる土地を、土地の持ち主から買い取ったXが、温泉の経営者Yに対して不法占拠を理由に引湯管の撤去を迫りました。そして、XはYに対し引湯管を撤去しないなら土地を法外な値段で買い取るように要求、Yが断ったため、Xが訴訟を起こしたという事件です。裁判所はXの請求を権利濫用だとして退けました。この判決は権利濫用について初めて裁判所が判断した事件(昭和10年)として有名です。

この宇奈月温泉の宇奈月神社で「権利ノ濫用除お守り」が授与されることで人気となっています。月に一度2時間だけの授与なのでその日は行列ができます。私も今月片道2時間かけてお守りをようやく手に入れました。

神社横の美術館ではお守り授与の日限定の木簡サンドが喫茶コーナーに登場します。

判決から90年、宇奈月温泉を舞台にした判決は地域おこしに一役買ってくれています。