隣地の木の枝
いよいよ秋も深まり、紅葉の美しい季節になりました。木々も冬に向けて着々と備えを始めています。夏の間に伸びたお隣の木の枝からの落ち葉に悩まされている方もいらっしゃることでしょう。では、お隣の木の枝が自分の土地に越境してきたとき、枝を勝手に切ることはできるでしょうか。
答えは民法にあります。民法233条1項は「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。」とし、自分で勝手に切ることはできず、隣地の所有者に切り取ってもらうことができるとしています。
では、木の根はどうでしょうか。同条2項は「隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。」とし、越境した根については切り取ってよいとしています。
枝と根でこのように扱いが違う理由は、①根は土地所有者が自ら切り取りやすいのに対し、隣地の所有者をわざわざ土地に立ち入らせて切り取らせるのは不便である、②枝は果実が付いている場合など価値が高い場合が多いのに対し、根はそうではない、等であるといわれています。
これらの規定は民法制定以来100年以上にわたり変更されてこなかったのですが、令和3年の民法等の一部を改正する法律において、竹木所有者を知ることができない場合や急迫の事情がある場合の特則が設けられ(同条3項)、令和5年4月までに施行されることとなりました。