ヴィンテージな会社
梅雨の気配を感じる季節となりました。
前々回のブログで会社設立の際には4つの種類の会社から選ぶことができるとお伝えしました。そこで、「おや、有限会社があるぞ」と思われた方もいらっしゃると思います。
有限会社は、平成18年4月の会社法施行以前に設立することができた会社で、会社法施行後は、商号中に必ず「有限会社」という文字を用いながら、株式会社として存続できることとなっています。このような有限会社を特例有限会社といいます。特例有限会社は一定の手続を踏んで株式会社に移行することもできます。
株式会社と比較した場合の特例有限会社のメリットは、株式会社の場合、取締役の任期が2年、株式の譲渡制限のある場合では最大10年に制限されるのに対し、特例有限会社の場合取締役の任期の制限はありません。また、通常の株式会社は最後に登記した日から12年間何も登記しないと解散したものとみなされるのに対し、特例有限会社にはそのような規制はありません。さらに、平成18年4月以降は特例有限会社が設立できないことから、「有限会社」の名称を使うことにより、一定の業歴のある会社であることが相手方に伝わるメリットもあります。いわば、分かる人には分かるヴィンテージな会社といえます。
特例有限会社のデメリットとしては、取締役会や監査役会等の機関を設置できないなど、会社組織の設計上制約があり、株式の譲渡制限も解除できず公開会社となることもできない点等が挙げられます。
そのため、必ずしも事業を大きく拡張するわけではないが、ファミリー経営の会社として末永く存続することを希望する場合には、特例有限会社として大切に残すことも有力な選択肢です。