日本酒のGI

GI(地理的表示)をご存じでしょうか。

GIは,ある商品の品質や特徴が,その口,地方又は土地から生じる生産物を表示するために用いるものをいいます。

日本においても保護があります。まず平成26年6月に「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示法)が成立しました。農林水産省の所管で,神戸ビーフや夕張メロンなどが登録されています。石川県では加賀丸いも,能登鹿ころ柿が登録済です。登録産品には大きな日輪を背負った富士山と水面をモチーフにしたGIマークが付され,他の産品との差別化が図られています。また,他国との相互保護が可能なので,EUなど相互保護を認めている国での偽ブランド横行にも取り締まりを求めることができます。

一方,お酒に関しては別の取り扱いとなっていて,酒類の地理的表示については,酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律に基づいて酒類の地理的表示に関する表示基準が定められています。保護の対象となる地理的表示は国税庁長官が指定することになっております。現在登録になっているのは,清酒(日本酒)では石川県白山市の「白山」のほか,蒸留酒で長崎県壱岐市の「壱岐」,沖縄県の「琉球」,ぶどう酒として山梨県の「山梨」などが登録になっています。

石川県の「白山」は2005年12月22日に登録されており,の特徴は「米の旨味を生かした豊かなこく」です。生産基準として,「米及び米こうじに国産米で醸造用玄米の1等以上に格付けされたもの,かつ精米歩合70%以下の米のみを用いる,石川県区さん市内で採水した水のみを用いる,石川県区さん市内において製造された清酒であること,もろみの製造にあたっては液化仕込みを行わないこと,貯蔵する場合は石川県白山市内で行う,容器に石川県白山市内で詰めること」が定められています。

酒類の地理的表示を申請し国税庁長官の指定を受けると産地名を独占的に名乗ることができるため地域ブランドとして他の製品との差別化を図ることができます。また,品質検査等により一定の品質が確保されるため,消費者の信頼を得やすくなる効果もあります。加えて,産地が違うもの,品質が基準を満たさないもの,消費者がGIと誤認する表示をするものについては行政が取り締まりを行ってくれるため,訴訟費用の負担を考える必要がなくなります。なお,酒類には統一されたGIマークはありませんが,各産地が独自にGIマークを作成して用いることはできるため,「白山」もGIマークを用いています。

コロナ禍で外出もなかなかままなりませんが,ステイホームのおともにおいしい日本酒は役に立つ友達になってくれそうです。お酒を買う場合にはラベルのマークに注意してみてください。