模倣品対策

今週,池田模範堂が主力商品であるかゆみ・虫刺され薬「ムヒ」の模倣品によって商標権を侵害されたとして,中国企業2社に損害賠償などを求めた現地の訴訟で勝訴が確定したと発表しました。模倣品の製造・販売の停止と約5000万円の支払いを命じたとのことです。

池田模範堂は,富山県上市町にある会社で,富山県出身の私としては,幼いころからこの「ムヒ」は夏になると枕元とカバンの中に必ず備え付けている商品なので,勝手にとても親近感を抱いてこのニュースをみました。

ニュースによると,模倣品はコンビニエンスストややドラックストアで「MOPI」の商品名で販売されパッケージなども酷似しているとのことです。実際にはパッケージ自体は,ニュースの映像を見る範囲ではイメージは重なりますがそっくりとまでは言えないので,代理人はかなり工夫をされてご主張されたことだと思われます。

幼いころから親しんできた商品なので「ムヒ」というのはあまりにあたりまえの名前だったのでどのような意味なのか考えたことがなく,なんとなく「ムズムズを鎮めるイメージ」なのかなと勝手に思い込んでいましたので今回池田模範堂のHPで語源を確認しました。そうすると,「比べるものがないほど優れた効き目」という意味で「唯一無比」「天上無比」から「ムヒ」と命名されたとのことでした。池田模範堂さん,数十年にわたり誤解しておりましてすいません。確かに,「ムヒ」ではなく「無比」で昭和34年に商標登録され,現在まで権利維持されています。パッケージでムヒの商標を取得したのが昭和52年のようですので,この会社が「ムヒ=無比」のイメージを含め商標を大事に守ってきているのが分かりました。そのようにして見ると,侵害品のパッケージには「無比滴 MOPIDICK」と商品名が記されているので,原告としてはこのような商品が出回ることは許しがたいことだったことが想像がつきます。

当事務所にも,地元企業からのアジア各国での模倣品対策の相談にこられます。海外での模倣品対策は,訴訟になると国内での訴訟と比較にならないほど高額な訴訟費用がかかります。自社商品を海外展開される場合には,事前に現地国でも商標権等を取得するなどの対策がとても大切になります。また.海外知財訴訟費用保険もあり,特許庁が掛け金の一部を補助してくれています。

https://www.jpo.go.jp/support/chusho/shien_sosyou_hoken.html

海外展開にあたっては,自社の知的財産権の保護も大切な準備となります。