男女の賃金差,開示義務化

金融庁の金融審議会が約4000社の上場企業に男女間の賃金差などの公表を義務付ける方向での報告書案を了承しました。

具体的には,上場企業に義務付けられている「有価証券報告書」の記載項目に,新しく「男女間賃金格差」「女性管理職比率」「男性育児休業取得率」などを追加します。

女性の活躍を推進することで日本企業の価値の底上げと海外からの渡欧し拡大につなげ国内掲載の成長につなげる狙いがあります。

OECDの2020年のデータでは,日本は男性賃金中央値を100とした場合女性は77.5にとどまります。OECDの平均が88.4なので日本の男女の賃金格差は世界的に見ても大きくなっています。

管理職に占める女性割合の水準も低い一方で,日本の女性のパートタイム労働者の比率は非常に高くなっています。2019年の「民間給与実態統計調査」(国税庁・令和3年)では,男性の正規労働者の年収が532万円,女性の正規労働者が293万円,非正規労働者が176万円だそうです。

女性の管理職比率は増加傾向にはありますが,男女共同参画白書平成28年版のデータですが14.8%であり,女性社員の割合が44.5%であるのに対し非常に低い状態です。

一方男性の育児休暇取得率は増加はしているものの厚生労働省のデータでは2018年時点で女性が82.2%取得しているのに対して6.16%と10分の1にも満たない取得率です。

かつて女性の労働力率を示す場合,M字カーブという言葉がありました(まだあるかもしれません)。女性の労働力率は結婚・出産期にあたる年代にいったん低下し,育児が落ち着いた時期に再び上昇するM字を描くため言われた言葉ですが,最近の世代ではそのような現象も薄れてきたような気がします

日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年以降年々減少しています。労働に対する意欲や能力に男女の差はありません。女性の能力の活用なしに日本の将来はありません。一方,出生率の低下も問題になる中,男性が家事・育児・介護について応分の負担をしなければ,女性は,仕事でも家庭でもこれまで以上の負担を強いられることになり到底持ちこたえられるわけがありません。

性差によって昇進や賃金の差が論じられることのない社会が近い将来来ることを期待しています。