経営承継円滑化法

中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)は、中小企業の事業承継を円滑に進めるための総合的支援策の基礎として平成20年5月に成立した法律です。この法律の内容として、事業承継税制、遺留分に関する民法の特例、所在不明株主に関する会社法の特例、金融支援などがあります。

このうち、遺留分に関する民法の特例については、これまで、旧代表者の有する財産の多くが会社株式であるといった場合に、他の相続人の遺留分を侵害することなく、後継者が安定的な経営権を掌握するために必要な株式数を確保することが困難であるという問題が指摘されていました。

そのため、この特例においては、旧代表者の生前に、後継者と推定相続人全員との間で、①後継者に贈与された自社株式や事業用資産の価額について、遺留分を算定するための財産の価額から除外する除外合意、②後継者に贈与された自社株式の価額について遺留分を算定するための財産の価額に算入する金額を合意時の時価に固定する固定合意、をすることができることとなっています。

これらの合意は、経済産業大臣の確認の上、家庭裁判所の許可を受けることで有効となります。経済産業大臣の確認を受けるには合意から1カ月以内の申請が必要で、さらに家庭裁判所の許可には当該確認から1カ月以内の申立てが必要となります。