色の商標
商標の種類に「色の商標」があります。2015年の商標法改正で音,ホログラム,動き,位置そして色彩のみといったこれまで商標として登録し保護することができなかった商標について登録をすることができるようになりました。「色彩のみからなる商標」とは,その名の通り,色彩だけをその構成要素とする商標です。すなわち,図形と結合しているわけではなく,輪郭もない,単なる「色」だけで構成されている商標をいいます。
この「色の商標」は,単色でも,複数の色の組み合わせでもよいのですが複数の色の組み合わせの場合は,特定の図形や文字を認識させないよう,色彩を直線的かつ平行に組み合わせた方法で表示されている必要があり,また,色彩の組み合わせ方(各色の配置や割合等)も特定する必要があります。
現在(令和5年4月時点)で色の商標登録は9件です。登録になっているのは,トンボ鉛筆の消しゴムや三菱鉛筆の鉛筆,日清製粉のインスタントラーメンの外袋などです。
「音の商標」として登録されるための登録要件ですが,まずその商品や役務に慣用されている商標は,登録できません。商品が通常有する色彩についても,原則として登録できません。その上で,「色彩のみからなる商標」は,原則として識別力を欠くため商標登録できず登録が認められるためには,その色彩が使用された結果,誰の商品・役務であるか認識できるようになっていること,いわゆる「使用による識別力」が獲得されている必要があります。
現在単色で登録になっている「色の商標」はありませんが,出願中の商標はあります。海外では登録されているものもあります。
国内企業で単色の登録が認められるような識別力を獲得する商品が早くあらわれることを期待しています。