プロバイダ責任制限法の一部を改正する法律

本年4月に、プロバイダ責任制限法の一部を改正する法律が成立し、令和4年10月までの施行が予定されています。

インターネット上の誹謗中傷などに対する対応には大きく分けて、書き込んだ相手を特定するための発信者情報開示請求と、書き込まれた情報を削除することを求める削除請求があります。

このうち、発信者情報開示請求について、現行の手続では発信者の特定のため2回の裁判手続を経ることが一般的に必要でしたが、今回の改正において、発信者情報の開示を一つの手続で行うことを可能とする新たな裁判手続が創設されることになりました。また、裁判所による開示命令までの間、必要とされる通信記録の保全に資するため、提供命令及び消去禁止命令を定めることができると定められました。

インターネット上の誹謗中傷などの権利侵害は、個人にとっても企業にとっても大きなダメージとなりうることから、早急な対応が望まれます。また、プロバイダ側においても、通信記録(ログ)の保存期間が一般的に3か月または6か月と短いことから、特に発信者情報開示請求の手続については、早期の対応が必要となります。

これらのことから、インターネット上の権利侵害に対しては、迅速かつ適切に対処することが求められます。