税関での差止

税関における差止が前年に比べて17.5%増え,3年ぶりに3万件を超えています。権利別でみると偽ブランド品などの「商標権」を侵害したものが30448件,次いで偽のキャラクターグッズなど「著作権」を侵害したものが863件などだとのことです。

税関での知的財産侵害物品の差止は,知的財産のうち,特許権,実用新案権,意匠権,商標権,著作権,著作隣接権及び育成者権を有する者又は不正競争差止請求権者が,自己の権利を侵害すると認める貨物が輸出入されようとしている場合に,税関長に対して,当該貨物の輸出入を差し止め,認定手続を執るべきことを申し立てる制度です。関税法第69条の4,同69条の13に規定があります。

差止に関しては令和3年改正の商標法意匠法において,海外の事業者が模倣品を郵送等により日本国内に持ち込む行為について,権利侵害行為となることが明確化されました。これを踏まえて,令和4年に模倣品の水際取り締まりが強化されています。令和5年10月からは,知的財産侵害物品の認定手続きにおいて新たに特許権,実用新案権,意匠権及び保護対象営業秘密に関する輸入差し止め申立てに耀貨物が簡素化手続きの対象となり,輸入者(名宛人)から争う旨の書面の提出がなければ,権利者からの証拠や意見の提出が不要となり該否認定のスピードアップが図られるようになりました。

個人で使用する場合であっても,海外の通販サイトで商品を購入した場合など,海外の事業者から送付される商品が模倣品(商標権又は意匠権を侵害するもの)である場合,税関による没収の対象となります。

海外の通販サイトなどで商品を購入する場合に限らず,国内の通販サイトで購入した商品であっても,海外から直接送付される場合もあります。注意が必要です。